両面型職エージェントのメリット・デメリット
2019年に発表された働き方改革の推進や、新型コロナウイルス感染拡大によるテレワーク制度・シフトワーク勤務の導入など、これまで以上に働く人々の価値観の多様化が進んでいます。併せて、企業がビジョンや中期経営計画で自社の価値観を発表し、そこに共感した求職者など、転職市場の拡大も見込まれています。本稿では、求職者を支える転職エージェントの中でも、「両面型転職エージェント」のメリットとデメリットについてお伝えします。
■両面型転職エージェントとは
転職エージェントには、大きく「両面型」と「分業型」に分かれます。両面型転職エージェントは募集案件を出している企業と求職者の両方とやり取りを行います。一方、分業型転職エージェントは、企業側の担当者と求職者側の担当者が分かれています。分業型転職エージェントは、主に大手転職エージェント企業で採用されていることが多いです。
■両面型転職エージェントのメリット
①ミスマッチのない提案
転職エージェントが求職者と対面面談を行い、求職者の求める職種、年収など希望要件を確認し、その後求人案件の紹介を実施します。求職者と面談を行っているエージェントが人材募集を出している企業とも交渉を行うため、求職者の紹介から面談までのスケジュール調整をスムーズに行うことができます。
また、求人案件の業界や職種ならではのキャリアの作り方に関するアドバイスもしてくれるため、深みのあるサポートが期待できます。企業の人事部から直接依頼をされているケースが多く、どの経験がマッチしているかなど、詳細を伝えてくれます。逆に懸念点や足りない部分についてもアドバイスを頂けるでしょう。
②企業の細部まで理解している
エージェント活動において、両面型ではなく分業制になっていると、企業担当しか細部を理解していないケースが少なくありません。また、面談時に求人票やネットに掲載されていることしか教えてくれないこともあります。
両面型転職エージェントは、企業と直接やり取りを行っているため、求人票には記載されていない組織のこと、上司がどんな人なのか、組織の年齢構成、中途採用のバックグラウンドなど、細かい内容も伝えることができます。
③業界の専門性が高い
両面型転職エージェントは、一定の業界、もしくは職種に特化しているケースが多く、エージェント自身が専門的な知識や業界の特徴を把握しています。中には業界出身のエージェントもおり、求職者の経験してきた専門性をよく理解しています。
業界や職種ならではのキャリアプランの作り方に関するアドバイスもできるため、深みのあるサポートが期待できます。
■両面型転職エージェントのデメリット
①紹介案件数が少ない
1人の転職エージェントが企業の人事担当者とキャリアアドバイザー担当を担っているため、紹介求人数は少ない傾向があります。自身の市場価値を確かめたいなど、たくさんの企業の紹介を求める求職者にとっては、デメリットに感じるでしょう。
②担当者と求職者の相性が重要
面談担当と企業担当が別の場合は、面談したキャリアアドバイザーと何度もやり取りを行うことはありません。つまり、ここでは面談者と求職者の相性を考える必要はありません。
しかし、両面型転職エージェントの場合は、転職のサポートを受けるにあたって基本的には窓口となり、就職先が決まるまで何度もやり取りを行います。細かなサポートを受けられるものの、自分のことを理解してくれていない人が担当になった場合は、ストレスを感じる可能性があります。
③レスポンスの速度
両面型転職エージェントは1人で企業担当も兼務しているため、基本的にオフィスで勤務している時間は少ないです。企業との打ち合わせ、ほかの求職者との面談の双方を行っているため、メールのレスポンスが遅くなるときがあります。
また、対面でのやり取りが多いため電話に出られないこともあるでしょう。今の時代、メール以外にもLINEやチャットなどでやり取りをする企業も増えているので、1日以上連絡が空くことは滅多にありませんが、少しレスポンスが遅いと感じるといった懸念点はあります。
おわりに
ここまで、両面型転職エージェントのメリットとデメリットをお伝えしてきました。両面型エージェントは専門性が高いため、保有している求人案件も少ないといったデメリットがあるものの、求職活動を始めた段階で今後のキャリアプランが明確になっている人や、挑戦したい業種・職種が定まっている人にとっては、メリットといえるでしょう。今後のキャリアプランが定まっていない人であっても、面談を通じて自己理解を深め、知らない業種・職種の理解を通じて新しい道を拓くことができます。まずは、転職エージェントの面談を始めてみてはいかがでしょうか。